浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
私は小さく息を吐いた。

こんなふうに“落ち着いてください”と言われたのは初めてだった。

隼太には最近、ちゃんと話すら聞いてもらえていなかったから。

日向先生は契約書を差し出す。

「調査は一週間ほどで結果が出ると思います」

「……そんなに早く?」

驚いて顔を上げると、日向先生は淡々と言った。

「無駄な時間は好みませんので」

少しだけ可笑しくなって、私は小さく笑ってしまった。

すると敬先生が、ふっと目を細める。

「ようやく自然に笑いましたね」

その言葉に、胸が小さく跳ねた。

日向先生の事務所を出たあとも、私の心は落ち着かなかった。

本当に、隼太は浮気しているんだろうか。

考えれば考えるほど分からなくなる。

昔の隼太は、もっと真っ直ぐ私を見てくれていた。

仕事の合間にも連絡をくれて、「今日は何食べたい?」なんて些細な話をして笑い合っていた。
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