浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
静かな空気。

私はシートベルトへ手を掛けた。

その時、不意に手首を掴まれる。

「先生……?」

振り返ると、日向先生が真っ直ぐこちらを見ていた。

逃がさないみたいな目。

低い声が落ちる。

「……もう守りたいだけでは済まない」

胸が大きく跳ねる。

その意味を理解した瞬間、身体が熱くなる。

私は息を呑んだ。

日向先生の指が、そっと私の頬へ触れる。

優しい。

なのに、その手つきには隠しきれない熱があった。

「あなたに触れたい」

低い声。真っ直ぐすぎる言葉。

「……男として」

その瞬間、唇が重なった。

「っ……」

激しい。でも優しい。

日向先生らしいキスだった。

奪うようなのに、壊れ物へ触れるみたいに丁寧で。

唇を重ねるたび、胸の奥が甘く痺れる。

私は小さく先生のスーツを掴む。
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