浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
すると腕が腰を引き寄せ、さらに深く口づけられた。

呼吸が乱れる。

こんなキス、知らない。

頭が真っ白になりそうだった。

やっと唇が離れる。

熱を帯びた視線が私を見つめていた。

「……桃子」

名前を呼ばれるだけで、身体が震える。

次の瞬間、ふわりと身体が浮いた。

「えっ……」

驚く私を抱きかかえたまま、日向先生は車を降りる。

「先生……っ」

「歩かせたら逃げるでしょう」

低く囁かれて、胸が熱くなる。

私は抵抗できないまま、その腕へしがみついた。

エレベーターの中。

静かな空間で、鼓動だけがうるさい。

先生の腕の中は驚くほど安定していて、安心するのに、同時にどうしようもなく緊張する。

部屋へ入ると、そのまま寝室へ連れて行かれる。

柔らかな間接照明。

広いベッド。

そこへそっと降ろされた瞬間、緊張で息が詰まりそうになる。

日向先生はベッドの縁へ腰掛け、静かに私を見下ろした。
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