浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
その目はもう、“弁護士”のものじゃなかった。

ひとりの男の目。

「この時を待っていた」

低い声が耳へ落ちる。

胸が苦しくなる。

私はシーツを握り締めた。

日向先生の手が、ゆっくり私の髪を撫でる。

頬を辿り、肩へ触れる。

触れられるたび、身体が熱を持っていく。

近い。近すぎる。

視線が絡むだけで、心臓が壊れそうだった。

「……怖いですか」

静かな問い。

私は小さく首を振る。

怖くない。

むしろ、この人に触れてほしいと思っている自分がいた。

すると日向先生は少しだけ目を細める。

そのまま肩へ触れ、ゆっくり服の布を外していく。

白い肌へ空気が触れ、思わず肩が震えた。

次の瞬間、先生の体温が重なる。

「っ……」

大きな身体に包まれる。

逃げられないくらい近いのに、不思議なくらい安心する。

日向先生は私を見つめたまま、そっと額へ口づけた。

その優しさに、胸がいっぱいになる。

私は目を閉じ、小さく先生の名前を呼んだ。

「……敬さん」
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