浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
隼太は私を見るなり、一歩前へ出る。

「桃子、やっと会えた」

その顔は少し痩せて見えた。

でも私はもう、以前みたいに胸が苦しくならない。

隼太は焦ったように言葉を続ける。

「連絡しても全部無視するし……ちゃんと話したかったんだよ」

私は黙ったまま立ち尽くす。

すると隼太は、必死な顔で言った。

「今まで仲良くやってきたじゃないか」

その言葉に、胸の奥が小さく痛む。

確かに、楽しかった思い出もある。

好きだった時間も、本物だった。

でも――。

「桃子」

隼太が私へ手を伸ばしかけた、その瞬間だった。

すっと目の前へ大きな背中が入る。

敬さんだった。

私を庇うみたいに立つ。

その広い背中を見た瞬間、不思議なくらい安心した。

敬さんは隼太を真っ直ぐ見据える。

静かな目。

けれど空気が冷えていく。
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