浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
確かめるみたいに優しくて、でも甘い熱が滲んでいる。

触れられるだけで安心する。

こんなキス、知らなかった。

ゆっくり唇が離れる。

至近距離で見つめられ、私は小さく息を呑んだ。

敬さんの指が頬を撫でる。

「これからは、私があなたの居場所になります」

低い声が胸へ落ちる。

私はその言葉に、涙が出そうになった。

隼太といた頃は、ずっと“嫌われないように”頑張っていた。

でも敬さんの前では違う。

弱くても。

泣いても。

そのままの私でいていいと思える。

私はそっと敬さんのスーツを掴む。

すると敬さんは優しく抱き寄せた。

大きな腕の中は温かくて、安心する。

私は胸へ頬を寄せながら、小さく呟いた。

「……ずっと、ここにいたいです」

その瞬間、抱きしめる腕が少しだけ強くなった。
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