浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
レストランの窓の向こうで、街の灯りが輝いていた。

高層階から見下ろす夜景はまるで宝石みたいで、私は思わず息を呑む。

「綺麗……」

小さく呟くと、向かい側に座る敬さんが静かに目を細めた。

「あなたが喜ぶと思って予約しました」

その言葉だけで胸が熱くなる。

こういうところだ。

敬さんは派手な愛情表現をする人じゃない。

でもいつも、私が欲しいものを静かに差し出してくれる。

私はワイングラスへ視線を落とし、小さく笑った。

「なんだかまだ不思議です」

「何がですか」

「私が、こんなふうに幸せでいていいのかなって」

本音だった。

少し前まで私は、恋人と親友に裏切られて、泣くことしかできなかった。

それなのに今は、こんなにも穏やかな気持ちで笑っている。

全部、敬さんが隣にいてくれたからだ。

すると敬さんは静かにグラスを置いた。
< 55 / 60 >

この作品をシェア

pagetop