浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
守られて。愛されて。

居場所までくれる人がいるなんて。

敬さんはそっと私の涙を指で拭う。

「泣かせたいわけじゃないんです」

「……嬉しくて」

掠れた声で答えると、敬さんの表情が柔らかく崩れた。

私は震える指を伸ばす。

「……私で、いいんですか」

すると敬さんは迷いなく頷いた。

「あなたじゃなければ駄目です」

その言葉に、胸の奥が熱くなる。

私は涙を零しながら笑った。

「……お願いします」

その瞬間、敬さんが静かに息を吐く。

張り詰めていたものが解けたみたいに。

そして優しく私の左手を取ると、薬指へ指輪を通した。

冷たい感触。

でも、その瞬間から心は驚くほど温かかった。

敬さんはその手へそっと口づける。

「これから先、二度と一人にはしません」

私は涙を滲ませたまま、小さく頷いた。
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