浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
ホテルの高層階から見える夜景が、静かに揺れていた。

柔らかな間接照明に照らされた部屋の中で、私は敬さんの腕の中にいた。

肌に触れる体温が温かい。

シーツへ包まれながら見上げた敬さんは、いつもより少しだけ柔らかい表情をしていた。

私はそっと胸へ頬を寄せる。

規則正しい鼓動が聞こえる。

安心する音だった。

「敬さん」

「はい」

低い声がすぐ近くで返ってくる。

私は小さく笑った。

「私、幸せです」

その言葉を口にした瞬間、胸がじんわり熱くなる。

少し前まで、自分がこんな未来を迎えるなんて想像もしていなかった。

裏切られて。泣いて。

全部失ったと思っていた。

でも今は違う。敬さんがいる。

それだけで、こんなにも満たされる。

すると敬さんが、そっと私の髪へ口づけた。
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