浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
「俺もです」

低く優しい声。

「桃子が俺の腕の中にいる」

胸がきゅっと締め付けられる。

私は思わず敬さんを見上げた。

その目は、苦しいくらい真っ直ぐだった。

愛されている。

その実感が、じわじわ心へ広がっていく。

敬さんは私を抱き寄せる腕へ少しだけ力を込める。

裸の肌同士が触れ合い、熱が混ざり合う。

逃がさないみたいに抱きしめられているのに、不思議と安心する。

「一生、あなたを放しません」

耳元で囁かれた声に、胸が震えた。

私は小さく笑う。

「もう逃げません」

そう答えると、敬さんの表情が少しだけ崩れた。

滅多に見せない、穏やかな笑顔。

私はその頬へそっと触れる。

「先生だった頃の敬さん、もっと怖かったです」

すると敬さんは小さく息を吐いた。

「弁護士ですから」

「今は?」

聞き返すと、敬さんは私の額へ静かに口づける。

「あなたの恋人です」
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