浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
そう言いながら、隼太はすぐにスマホをポケットへしまう。

前はこんなこと、しなかった。

誰から来たのか隠すこともなかったし、私の前で普通に返信していた。

なのに今は違う。

その小さな違和感が、胸の奥に刺さって抜けない。

「最近、忙しいね」

私がそう言うと、隼太は苦笑した。

「今ちょっと案件重なっててさ。残業ばっか」

「そっか……」

私は笑う。

また、無理に。

――あなたが無理に笑う必要はありません。

不意に、日向先生の声が頭をよぎった。

静かな低い声。

“違和感というのは、案外正確です”

あの言葉が胸から離れない。

もしかしたら私は、ずっと気づいていたのかもしれない。

気づかないふりをしていただけで。

隼太はソファでくつろぎながら、スマホを触っている。

その画面を、私は見られない。

見てしまったら、何かが壊れる気がした。
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