浮気調査を依頼した敏腕弁護士が、傷心の私を溺愛して離してくれません
その瞬間だった。

加絵の指先がぴくりと止まった。

ほんの一瞬。

けれど私は、その違和感を見逃せなかった。

「隼太くん?」

「うん。最近ちょっと変なんだよね」

なるべく軽く言ったつもりだった。

でも胸の奥はざわざわしている。

加絵はすぐに笑った。

「気のせいじゃない? 桃子って考えすぎるところあるし」

その言い方に、少しだけ胸が引っかかった。

前の加絵なら、もっとちゃんと話を聞いてくれた気がする。

「でも、スマホ隠したりするの」

「男の人ってそういう時あるよ」

即答だった。

まるで、庇うみたいに。

私は曖昧に笑った。

「……そっか」

加絵はすぐ話題を変えるようにメニューを開く。

「ねえ、この限定パンケーキ気になってたんだよね」

明るい声。

けれどどこか不自然だった。
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