ジュリエット・イン・ワンダーランド
(この劇みたいに、あの人が告白してくれたら……)

叶いもしない願いをただ心の中で言い、絆は子どものように泣きじゃくった。



翌日の放課後。絆の顔色は悪かった。体育館に向かう足取りは重い。

(昨日、泣いて途中で帰ったからめちゃくちゃ気まずい……)

何故泣いたのか、その理由を誰にも話せていない。否、話したら馬鹿にされるだろうと絆は拳を握り締める。

(たかが失恋しただけだし……)

そう思っても、足取りは重いままだ。絆の口からため息が出る。その時。

「絆。ちょっと付き合ってもらおうか!」

司が立ちはだかるように現れた。そして絆の返事を聞かず、彼は手を掴んで走り出す。

「司!?ちょっと、どこ行くの!?」

学校を出て、駅へと向かう。電車に揺られること数十分。到着した場所を見て絆はポカンと口を開けた。

「ここって、Nランド?」

「ああ!今から思いっきり遊ぶぞ!」

Nランドは司がキャストとしてバイトをしている遊園地である。絆は司に手を引かれた。
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