ジュリエット・イン・ワンダーランド
時計を見て絆は驚いた。もう夕方である。空は夕焼けから夜へと変わろうとしていた。司が絆の手を取る。

「最後に観覧車に乗ろう」

「うん」

観覧車に向かい合って座る。先ほどまではしゃいでいた司はやけに静かだった。ゴンドラがゆっくりと上昇していく。絆は訊ねた。

「司、どうしたの?疲れちゃった?」

「いや、そうじゃないんだ。ただ緊張してしまってな……」

司が顔を上げる。何故か頰が赤い。絆が首を傾げると、司は咳払いをして言った。

「それで、何があったんだ?みんな心配していたぞ」

みんな、というのは演劇部の部員たちのことだろう。絆は「ごめん」と謝る。そして、恥ずかしさを必死で抑えて失恋したことを伝えた。

「くだらないことで、本当にごめん」

「……いや、別にいいんだ」

司は大きくため息を吐く。怒っているのか、そう思った絆は制服のスカートを握り締めた。

「隣に行ってもいいか?」

絆が返事をする前に、司が絆の隣に座る。狭いゴンドラがさらに狭くなったように感じ、絆は緊張を覚えた。
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