同じ家なのに君は遠い
遥斗は前を向いたまま続けた。

「そんな不安になるくらいなら、最初から言わねぇ」

夕方の風が吹く。

その横顔は相変わらず静かなのに、言葉だけがずるいくらい優しい。

遥斗は少しだけ歩幅を緩めた。

「……お前が思ってるより、ちゃんと大事にする」

その一言で、天音の中の何かが崩れた。

もう、無理だった。

好きだと思ってしまう。

こんなの、好きじゃない方が無理だ。
< 108 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop