わたし、まだ話してる。
その頃から私は、少しずつ黙るようになった。

否定されたくないというより、
疲れたのだ。

最後まで辿り着けない会話に。

説明してもズレていく感覚に。

だから私は、聞こえないふりを覚えた。

考えないふりも覚えた。

微笑みながら流すことも。

それが一番ラクだったから。

すると彼は、少しだけ悲しそうな顔をする。

「なんか今日静かじゃない?」

そう聞かれても、私はうまく答えられなかった。

だって本当は、

静かになったんじゃない。

話せなくなっただけだった。
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