DEAR.-モテるとか聞いてない!-
母の後ろから出てきた父が、私の肩を軽くポンポンッと叩いた。
「玲央だぞ?あの玲央。絶対、必ず元気になるはずさ。そんな暗い顔、あいつに見せるな」
重い気持ちが少しだけ軽くなったような気がした。
とりあえず今日は帰ることになった。
何かあっても、そこそこ近いから車で行けると、母以外は泊まるのは遠慮した。
その日の夜は全く寝付くことができなかった。
翌朝9時頃、母から電話がかかってくる。
いつの間にか眠っていて、寝ぼけ眼でスマホを取る。
「ん…」
「恋羽。…玲央、意識戻ったから、普通の病室に行くみたいよ。615号室…来てあげて。きっと喜ぶから」
「意識戻ったんだ…良かった」
「うん」
「でもお母さんが行った方が喜ぶよ」
「いいから、遠慮しないの。それに、玲央の入院道具取りに家帰らなきゃだから、様子見てて」
「ああ…」
入院…するんだ。
当たり前だけど、でも実感した。
玲央が病気だって。
それも…大きな。
私は顔を出したくなかった。
会って、どんな顔をしていれば良いのかなんて分からない。
でも会いたかった。
「分かった。今から準備して自転車で行くから、30分ちょいで行く」
「了解。待ってるね」