DEAR.
Ⅵ:歩む
「見てて、恋羽」
彼は、重そうにしながらも、自力で少し歩いてきた。
「ほら俺、少しだけだけど、支えなしで歩けるようになった!まだぎこちないけど、恋羽見てて」
ゆっくりゆっくり、私に近付いてくる。
そして、私の元に辿り着いた彼は、抱き締めてきた。
「待っててくれてありがとう」
「頑張ったね、玲央」
椅子に腰掛けて、
「しばらくぶりだね、恋羽」
「半年とか1年会ってないみたいな言い方じゃん。2日で風邪治したけどね。根性」
「俺に会いたくて?」
私は頷いた。
「そっか。…早く、普通に歩けるようになりたいな。恋羽と、並んで歩いて登校したい。デートしたい」
私は微笑んだ。
「車椅子乗って、病室戻ろっか。今日はめちゃめちゃ頑張ったから」
「うん」
私は車椅子を押して、615号室に向かった。
「天気良いし、散歩でも行く?」
「土手でも行こうか」
「そうしよっか。その前に、やることやっちゃうね」
「うん。いつもありがとね」
荷物は、もう持って帰るだけにして、玲央を土手に連れて行く。
桜が沢山咲いている。
「ここ穴場スポットだよね。人少ないのに桜めちゃくちゃ綺麗」
「そうだね」