DEAR.-モテるとか聞いてない!-
こんな幸せなことが、現実であることを心から願った。
でもこれは、どうやら夢ではないらしい。
ふと我に返った。
こんなに浮かれてる場合じゃない。
これから聞く話は、嫌な話だ。
藤村さんに連れられて辿り着いた個室には、大きな長机とモニターと椅子が4つあって、私達は座った。
玲央は座る時に1度手を離したけど、再び手を握ってきた。
横目でチラリと玲央の顔を見た。
凛々しくて、まるで固い決意をしたようだった。
その時、雅代先生が入ってきた。
「先生、俺の勇気が崩れないうちに結果を話して」
玲央は先生の目を見ようとはしなかった。
顔には出さないものの、相当な恐怖と内心闘っているのだろう。
雅代先生は腰を下ろして、モニターにMRIの画像を映し出した。
「玲央くん。今ね、貴方の脳内には、悪性腫瘍がある」
「…うん」
玲央は小さく頷き呟いた。
雅代先生のその一言で、玲央は唇を噛んで俯いていた。
まるで涙を我慢するように。