浅生先生はもう恋をしないそうなので、私は今日も好きを伝える。
6時限目が終わると、私はそそくさと帰る準備を始めた。
いつもはだらだら支度して、終礼が終わった後も葉月と駄弁ってるけど、今日は一刻も早く教室を出なきゃいけない用事がある。
そう。浅生先生に傘を返さなきゃなんだ!
とはいえ傘は一階の下駄箱に置いてあるから、まずは終礼に来た浅生先生をとっ捕まえて「傘を返したいんですけど!」って話しかけなきゃ。
私はいつ浅生先生が来てもいいように、教室のドアの方をちらちらと見ながら帰りの準備が始まった。
「はーい、終礼始めますよ。」
浅生先生が来るよりも前に、えだちゃんの声が教室に響いた。
みんなぞろぞろと席に着く中で、私はチラチラと教室の後ろのドアを見ていた。
うそ!?まだ浅生先生が来てないんですけど?!?
いつもだったら終礼が始まる少し前くらいにはぬるっと教室の後ろに現れているはずなのに…確か。
今日に限って浅生先生は遅れてやって来て、えだちゃんが話し始めたと同時に後ろの扉から入って来た。
……流石に今から席を立って話すのは無理だ。
私は諦めて終礼が終わってから話しかけようと決めた。