図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
「編集者、やらせてもらえませんか」
真正面から見据える彼の瞳は、
あまりに純粋で、ひたむきだった。
これほどまでに必死な光を向けられてしまったら、どんな言葉を尽くしたって、もう断る術なんて残されているはずがない。
『……分かりました。でも、少しでも辞めたくなったら、すぐに言ってくださいね。やりたくないことを無理やり押し付けるほど、私は鬼じゃないので』
観念したように小さく息を吐き、私はようやく、彼を受け入れるための言葉を口にした。
自信なんてひとつもないけれど、そこまで言ってくれる彼の気持ちに、嘘で応えたくはなかったから。
「ありがとうございます……!!」
その瞬間、彼の顔いっぱいに
弾けるような笑顔が広がった。
喜びを爆発させたその声が、静まり返った図書室を通り越して、学校中にまで響き渡ってしまうのではないかと、ハラハラして周囲を見渡してしまうほどに。
これまで、この場所で独りきり、
孤独に文字を紡いできた私の世界。
そこに、蓮見來という名の眩しい光が、
強引に、けれど優しく踏み込んできた。
これが、誰にも言えない「秘密の物語」が、二人だけのものに変わった瞬間だった。