図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
…どうしよう、猛烈に気まずい。
彼に原稿を送ってからのこの数分間、私は一体どんな顔をして、どこを見ていればいいんだろう。
チラッと、盗み見るように隣を確認する。
そこには、いつもの眩しい笑顔を封印し、画面に触れる指先さえも止めて真剣に読み耽っている蓮見くんの姿があった。
長いまつ毛が影を落とし、一点を見つめるその横顔は、まるで彫刻のように整っていて、余計に私の焦燥感を煽ってくる。
……生きた心地がしない。
なんとも言えない、針のむしろに座っているようなこの時間に耐えきれなくなった私は、咄嗟に図書室の棚にあった一冊の本を手に取った。
内容なんて一文字も頭に入ってこないけれど、とりあえず開いたページに視線を落とし、必死に「読んでいるフリ」を決め込む。
ページをめくる指が、微かに震える。
私の拙い言葉たちが、彼の頭の中でどんな音を立てて響いているんだろう。
笑われていないだろうか。呆れられていないだろうか。
本を盾にして隠れた私の心臓は、静まり返った図書室の中で、自分でも驚くほど大きな音を立てて脈打っていた。