図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
「ふうかちゃん、おまたせ。……すごくよかったよ」
顔を上げた彼の声は、熱を帯びていた。
その響きに嘘がないことを悟って、私は盾にしていた本をゆっくりと机に置く。
『ほ、ほんと……ですか?』
「うん。ふうかちゃんの言葉を活かしつつ、ちょっとだけリライトしてみたんだ。どうかな」
スマートフォンの通知が鳴り、送られてきたテキストに一つ一つ、食い入るように目を通していく。
『す、すごい……こんなに、感情が伝わりやすくなるの……?』
言葉を失った。
それは、私が書いたものとは明らかに違っていた。
けれど、物語の筋書きがまるっと変えられたわけじゃない。
情景に合わせた言葉の選び方や、
胸を締め付けるような比喩の使い方。
ほんの少しの表現の変化が、私が伝えたかったはずの「心の叫び」を、何倍もの鮮やかさで描き出していた。
『……魔法、みたい』
ここまで繊細で、人の心を揺さぶる文章を提示できるのなら。
いっそ、蓮見くん自身が物語を書いた方がいいのではないか。そんな考えが頭をよぎるほど、彼の紡ぐ言葉には、鋭くも温かい力があった。
隣で私の反応を待つ彼は、どこか眩しくて。
同時に、この才能を「サポート役」に徹するために使おうとする彼の本心が、少しだけ不思議で、もっと知りたくなった。