図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
『……私。ずっとずっと、挑戦できなかったことがあるんです』
頬に残る彼の指先の熱を感じながら、私は胸の奥に閉じ込めていた一番の「願い」を絞り出した。
「できなかったこと?」
『はい……。コンテストに応募することが、どうしても怖くて……今まで一度も、できなくて……』
一歩踏み出せば、誰かに否定されるかもしれない。
私の宝物が、ただのゴミのように扱われるかもしれない。そんな恐怖に足がすくんで、いつも締め切りを横目に見送ってきた。
けれど、今は独りじゃない。
私の言葉を「希望」だと言ってくれた、
蓮見くんがそばにいてくれる。
彼が信じてくれる私を、私自身も少しだけ信じてみたい。
だから、この夢を――彼と一緒に叶えたい。
『今開催されているコンテスト……応募したいんです。……お手伝い、してくれませんか……?』
緊張で、声が震える。
彼なら絶対に頷いてくれると分かっていても、
想いを言葉にするのは勇気がいることだった。
「もちろん。俺でいいって言ってくれるなら、全力でサポートするよ」
彼は力強く、けれどどこまでも優しく微笑んだ。
「二人で最高の物語を作ろう、ふうかちゃん」
その瞬間、止まっていた私の時間が、
彼の手によって鮮やかに動き出した。
一人で綴っていた孤独な物語は、今、二人の運命を乗せた「プロジェクト」へと変わったのだ。