図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
第3話:コンテスト
「これで、エントリーの準備は大丈夫だと思う。コンテストの応募先も……うん、間違いないね」
スマートフォンの画面を指でなぞりながら、蓮見くんは一つ一つの項目を丁寧に、私以上に慎重に確認してくれた。
今まで、応募フォームの「送信」ボタンを前にして何度も逃げ出してきた私にとって、隣で頷いてくれる彼の存在は、何よりも心強い「お守り」だった。
「あとはひたすら、書き続けるのみ、だね」
『はい! 頑張ります……!』
力強く頷くと、彼はふっと表情を和らげ、
いたずらっぽく、けれど甘い響きを帯びた声でこう付け加えた。
「放課後だけとは言わず、少しでも続きが書けたらすぐに送って。どうせ家でも、暇して何かを読んでるだけだからさ。……君の最新話を一番に読めるのは、俺の特権でしょ?」
『あ……。ありがとうございます。すごく、助かります……』
「特権」なんて言葉に、心臓がまたひとつ、
大きな音を立てる。
学校一の人気者が、家で私の原稿を待っている。
そう思っただけで、指先にまで新しい力が宿るような気がした。
今まで、孤独の中で窒息しそうになりながら綴っていた言葉たちが、彼という「最初の読者」を得て、今、確かな翼を広げようとしていた。