図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
……だめだ。こんなところで足を止めちゃいけない。
何を言われたって、書かなきゃ。
私には、これしかないんだから。
書くこと以外に、私を私として繋ぎ止めてくれる取り柄なんて、どこにもないんだから。
……そう、自分に言い聞かせているのに。
スマートフォンの画面に向かい、必死に指を動かす。
けれど、一行書いては消し、一場面作ってはまた、白紙に戻す。
何を書いても「違う」気がして。
あんな心ない言葉の羅列が、
頭の裏側にべったりと張り付いて離れない。
こんな不完全なものを蓮見くんに送って、彼にまで「現実味がない」なんて思われたらどうしよう。
そう思うと、送信ボタンがこの世で一番恐ろしいものに見えた。
『……スランプだ……』
ぽつりと溢れた独り言が、冷え切った自室に虚しく響く。
あの日、彼が寂しそうに笑いながら話してくれた、あの絶望。
物語が、色を失って消えていく感覚。
彼を救いたい、一緒に夢を叶えたいと願ったはずの私が、今、彼と同じ暗闇の中に引きずり込まれようとしていた。