図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
第4話:作家の【病】
結局、今日の放課後は図書室へ行く勇気が出なかった。
何を書いても無駄だ。あんな言葉をぶつけられた私の物語に、もう価値なんてない。
そう思い始めたら、蓮見くんの顔を見るのが怖くて、約束の時間になっても足が一歩も動かなかった。
誰もいない放課後の教室。
私は隅っこにある掃除用具ロッカーの前に、自分を消してしまいたい一心で小さく丸まって座り込んだ。
膝に顔を埋めると、こらえていた涙がとめどなく溢れ、スカートに黒い染みを作っていく。
『ごめんなさい、蓮見くん……私、もう書けないよ……』
その時。
「ガラっ!」と、静寂を切り裂くような勢いで、
教室の扉が開け放たれた。
「ふうかちゃんっ……! よかった、見つかった。いつもの場所にいないから、心配したよ」
肩で息をしながら、必死な顔で私を見つけ出したのは、他でもない蓮見くんだった。
逆光を背負って立ち、汗を浮かべて私を見つめるその姿は、暗闇の底にいた私を救い出しに来た王子様のようで。
情けない姿を見られた恥ずかしさよりも先に、彼が私を探してくれたという事実が、震える心に熱く響いた。