図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
「最近、遊びの誘いも全部断って図書室に通ってたら……何かがおかしいって、俺の後を付けられてたみたいでね」
彼の口から漏れた言葉に、背筋が凍るような思いがした。
「学校一の人気者」である彼の行動は、私が思う以上に注目を集めていたのだ。
『…………』
「涼風璃杏っていうペンネームを聞いて、わざわざアカウントを作って、ネットで検索して……。それを書いたって、今日、あいつに認めさせてきたんだ」
愕然とした。
彼は放課後の図書室で私に寄り添うだけでなく、
私の知らないところで、私の名前と物語を守るために戦ってくれていた。
そんな、編集者としての対応範囲を遥かに超えたことまで背負わせていたなんて、想像すらしていなかった。
「ただの嫉妬で、内容もまともに見ずに荒らすような感想ノートを書いたって、あいつ……認めてたよ。……改めて、俺からも謝らせてほしい。本当に、ごめんなさい」
床を見つめる彼の声は、悔しさで微かに震えていた。
謝らなければいけないのは、私の方なのに。
私の物語が、彼にこんな辛い役割を押し付けてしまったのに。
けれど、差し出された彼の掌の熱が、
私の心の凍りついた部分を少しずつ溶かしていく。