図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~

「スランプに……なっちゃったんだね」


答える声すら出なくて、私は顔を縦に振るのが精一杯だった。
視界が涙で滲み、ロッカーの影がゆらゆらと揺れる。


「でもね、ふうかちゃん。作品情報から、今のこのお話の状態を……ちゃんと見てみて」


膝の上で丸まっていた私の手に、
彼の温かい指先が触れる。

促されるまま、震える指でスマートフォンの画面を開いた。

あんな酷い言葉を投げつけられた場所なんて、
本当は見たくもなかったけれど。


「PV数、読者数、レビュー数、いいね数。あとは感想ノートの数。……今、このコンテストに応募されている全作品の中で、ふうかちゃんの物語がぶっちぎりなんだ。……気づいてた?」


まさか。そんなことがあるはずない。

あんな風に貶されて、誰にも望まれていないと思っていたのに。

信じられない思いで、作品一覧の並び順を「人気順」に切り替えてみる。


ページが更新された瞬間、
一番上に固定されたのは――見間違いようのない、私の、私たちのタイトルだった。

圧倒的な数字。

それは、たった一人の悪意ある言葉など簡単にかき消してしまうほど、残酷なまでに輝かしい「評価」という名の光だった。


『……あ…』


声にならない吐息が漏れる。

私が暗闇で蹲(うずくま)っている間も、物語は私の手を離れて、多くの誰かの心を震わせていたのだ。
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