図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
『……もう一度だけ、頑張ってみます。だから、もう少しだけ……。蓮見くんのお力を、借りてもいいでしょうか……っ』
震える声で、けれどもしっかりと彼の目を見て告げた。
一度は捨てようとしたペンを、もう一度握る勇気をくれたのは、間違いなく隣にいる彼だ。
私の言葉を聞いた瞬間、蓮見くんの顔にパッと、春の陽だまりのような嬉しそうな色が広がった。
「もちろん。大好きな涼風先生のためなら、いくらでも」
『え……っ……』
「大好き」という言葉が、鼓膜を震わせて脳裏に深く刻まれる。
思考が止まって呆然とする私の手を、彼は包み込むようにギュッと握りしめた。
「俺は、君の物語の最初のファンで、一番の味方だよ。だから、一人で抱え込まないで。これからは二人で、最高の結末を書き上げよう」
放課後の誰もいない教室。
掃除用具ロッカーの隣という、クラスの隅っこで始まった私たちの共作。
それはもう、ただの現実逃避ではない。
二人で世界を塗り替えるための、本物の「物語」へと変わった瞬間だった。