図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
第5話:二人の作品
それからというもの、不思議なほど私の執筆の手が止まることはなかった。
コンテストの締め切りが刻一刻と迫っていた焦りも、確かにあったのかもしれない。
けれど、それ以上に。
もっとこの物語を紡ぎたい。私の言葉を待ってくれている人たちを、
そして、誰よりも近くで信じてくれる彼を、最高の結末で喜ばせたい。
その純粋な渇望が、止まっていた私のペンを突き動かしていた。
深夜、静まり返った部屋で書き上げたばかりの最新話を、震える指で送信する。
『……すみません、今送ったデータ、確認お願いします』
数秒もしないうちに、彼からの返信が画面を灯した。
「うん、ありがとう。大切に読ませてもらうね」
その短い言葉の裏側に、彼が私の原稿をどれほど待ちわび、
どれほど敬意を払ってくれているかが透けて見えて、胸の奥がじんわりと熱くなる。
一人で画面に向かっているはずなのに、独りじゃない。
彼という最高の「編集者」がいる。