図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
静まり返った図書室。完結ボタンを押した後の余韻の中で、私はずっと心に温めていた言葉を口にした。
『……コンテスト用の作品作りは終わったけど、また……蓮見くんに編集者、お願いしてもいいでしょうか……?』
蓮見くんは一瞬、弾かれたように目を見開いて、驚いたような顔をした。
けれど、すぐにその表情はふっ、と柔らかいものへと溶けていき、いたずらっぽく笑う。
「逆に、これからも俺を編集者でいさせてくれるんですか?」
『は、はい! 蓮見くんが……その、嫌じゃなければ、ですけど……っ』
思わず身を乗り出して答えた私に、彼は少しだけ声を落として、慈しむような視線を向けた。
「そんなの、答えなんて決まってるじゃないですか」
そう言うと、彼は私の手元にあるスマートフォンの画面
――私たちが作り上げた物語を、愛おしそうに指先でなぞる。
「もちろん、OKです。……これからもずっと、君の隣で、物語を紡ぐ手伝いをさせてください。涼風先生」
その言葉は、どんな「合格通知」よりも私の胸を熱く焦がした。
コンテストの結果がどうなろうと、この場所が、この関係が続いていく。
オレンジ色の夕日が差し込む図書室で、私たちは新しい物語のページをめくるように、もう一度静かに微笑み合った。