図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~

「次は、来週。また、この図書室で会おう」


図書室を出る間際、彼は振り返って、夕闇に溶けそうなほど優しい声で言った。


『……はい。約束です』


来週。それはある意味、私の運命が決まる日だ。
一人の孤独な少女が、たった一人の「編集者」に救われ、
書き上げた一万文字の物語。その答えが出る瞬間が、もうすぐそこまで迫っている。


「結果が出るまでは、多分またスランプみたいな状態になっちゃうと思う。だから、今週は一旦、執筆はお休みしましょう」

『そうですね……そうしようと思います』


彼は、私が「結果」を待ちわびるあまり、また自分を追い込んでしまうことを分かっているのだ。

「執筆はお休み」という言葉は、彼からの「今はただ、頑張った自分を認めてあげて」というメッセージのように聞こえた。


図書室を後にする足取りは、数日前よりもずっと軽かった。
たとえ来週、どんな結果が待ち受けていたとしても。
私の隣には、私の言葉を誰よりも大切に思ってくれる彼がいる。


私たちは、一週間の「休息」という名の短い空白を、期待と少しの不安で埋め合わせながら、それぞれの帰路についた。
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