図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
「ふうかちゃん、やったね……っ!! 優秀賞だよっ!」
図書室の静寂を破る、蓮見くんの弾んだ声。
その明るい響きに、私の意識はやっと現実に引き戻された。
ぼやけていたスマートフォンの画面が、再び「優秀賞」の文字を鮮明に映し出す。
『……こ、れ……夢じゃ、ない……ですよね……っ』
「ちゃんと現実だよ。おめでとう、ふうかちゃん」
彼が私の肩にそっと手を置く。その確かな温もりが、
私の内側で張り詰めていた最後の糸をぷつんと切ってしまった。
『っ……あ…………』
泣いているところなんて、絶対に見られたくないのに。
そう思って奥歯を噛み締めても、止めようと思えば思うほど、
涙はとめどなく溢れ出て、視界をぐちゃぐちゃに塗りつぶしていく。
「……よく頑張ったね」
止まらない涙に困惑する私を、彼は困ったように、でもこの上なく愛おしそうに笑って見つめている。
彼がいてくれたから、あの一万文字を書き上げることができた。
信じてくれた彼がいたから、私は今、ここに立っている。
込み上げる嗚咽を抑えられず、私は顔を覆った。
夕暮れの図書室、西日に照らされた私たちの影が、静かに、そして深く重なり合っていた。