図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
けれど、私の脳内を占領していた最悪な予測は、彼から返ってきた言葉によって跡形もなく吹き飛ばされた。
「えっ! ほんとですか……! 俺、涼風璃杏さんの作品が大好きで、いつも本棚登録してるんです!!」
弾んだ声。隠しきれない興奮。
そこには、私を嘲笑う冷たさなんて微塵もなかった。
『……へ?』
あまりに想定外の返答に、
喉の奥で間抜けな声が漏れる。
ゆっくりと振り向くと、そこには学校中の女子が憧れるあの端正な顔を、まるで宝物を見つけた子供のように輝かせている蓮見來(はすみ らい)の姿があった。
学校一の人気者として、常に光の中にいる君が。
陰キャの私とは、一生関わることなんてないはずの君が。
私の拙い物語を読んでいる?
それどころか、「大好き」だなんて。
『嘘、でしょ……?』
頭の中では、理解不能な事態による猛烈な渋滞が起きていた。
目の前にいる眩しい少年と、自分のスマホの中にある地味な執筆画面が、どうしても一つの現実として結びつかない。
混乱で思考が停止する私をよそに、彼はさらに一歩、身を乗り出すようにして言葉を続けた。