図書室のゴーストライター ~放課後の図書室で、私たちは世界を書き換える~
「学校にいると、たまに息が詰まるんだ。だから、俺にとって本を読む時間はすごく大切で。そんな時に、偶然見つけたのが涼風璃杏さんの作品だったんです」
彼の口から零れたのは、光の中にいる彼には似つかわしくない、切実な告白だった。
完璧に見える彼でさえ、この息苦しい教室の中で、私と同じようにどこか出口を探していたなんて。
…私の書いたものが、誰かの場所になっていたの?
自分のためだけに、ただ孤独を埋めるために
綴っていた拙い物語。
それが、まさか目の前にいる彼の、
心の拠り所になっていたなんて。
あまりにも信じがたい事実。
けれど、彼の瞳に宿る純粋な熱が、それが真実だと私に訴えかけてくる。
驚きと、それ以上に込み上げてくる言いようのない嬉しさに、私は恐怖を忘れて、思わず蓮見くんの目をじっと見つめ返してしまった。
レンズ越しに合う、真っ直ぐな視線。
彼が見ていたのは、地味な「水越ふうか」ではなく、「涼風璃杏」という一人の作家だった。