暴れる恋情 ~萌ちゃんママは御曹司に激愛されまくりです~
 しみじみ考え込んでいたらもう休憩時間が終わりだった。慌てて水筒などを片づけて売り場へ行く。
 じっくり書棚を眺めて注文書を作成していく。書店員としての今までのデータと私の売れ行き予想のカンが試される大事な時間だ。気が付くとあっという間に時間が過ぎてもう夕方の十六時だった。
 あがろうと思って注文書から目を離し、文庫売り場を見る。
 立ち読みをしている人がいる。私はすすす、と近寄って言った。
「お客様、立ち読みは困ります」
「失礼。このPOPがあんまり魅力的で読まずにはいられなくて」
 そう言ってウインクしたのはもちろん彰良さんだ。
「仕事が早く片付いたんだ。一緒に萌を迎えに行こう」
「はい」
 この後、萌と三人で帰って私は食事を作る。三人で食事をしてたら萌の嫌いなピーマンが入っていて泣いて嫌がるかもしれない。私と彰良さんでなだめすかしてなんとか食事を終えて。お風呂に入るのもバタバタで慌ただしくて。
 でも、やっぱり楽しい。いろんなことにありがとうと言いたくなる。
 神さま、私に萌と彰良さんに会わせてくれてありがとう。

 私は彰良さんの運転する車の助手席で、そんなことを考えていた。
 実はその同じころ、萌はある事件に直面していた。後でわかった話なのだが、お友達に囲まれてこう言われたらしい。

『萌ちゃんのパパって恰好いいよね』
『パパじゃないよ。パパおじさんだよ』
『変だよ。パパおじさんなんていないよ』
『へーん、へーん』
『だっておじさんがパパだよって言ったもん』
『それ、パパだよってことじゃん』
『そうなの?』

 そんな会話が繰り広げられているとは私も彰良さんもつゆ知らず。二人でお迎えとか珍しいから喜ぶだろうね、などと言い合っていたのだ。
 私と彰良さんが保育園のお迎えスペースにやってくると私たちを見つけた萌が全力で走ってきてこう言った。

「パパ!」

 彰良さんが感涙にむせび泣いたのは言うまでもない。

                               <了>

 

 

 


 
 

 
 
 
 



 

 
 
 




 
 
 



 

 
 

 

 
 

 
 
 

 

 
 

 










 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 
 

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