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「ええ。もちろんよ。今は時間がなくて……また後日、お話させていただけるかしら?」

 まっすぐに何も考えない正攻法で、ここを切り抜けるのは難しそう。けれど、話を聞きたいと主張する貴族令嬢を、ここで押し除ける訳にもいかない。

 騒ぎになるだろうことは想像に難くない。

「まあ……リゼル様。そんな! ぜひぜひ見識のあるリゼル様に、たくさん話を聞かせていただきたいの」

「本当に。リゼル様のお父上、フォーセット男爵は異国を回っているとか。そういう素敵なお話をお聞きしたいわ……私たちは、レニア王国から出たことがないから……」

「申し訳ないわ。私には今は、時間がないのですけれど……」

 眉を寄せた私が頬に手を当ててそう言えば、そこに居るご令嬢たち全員が、無言でにっこりと微笑んだ。

 ええ……そんなの、重々理解しているわよね。

 ここで私を足止めするように頼んだ令嬢は、今は会場で開会の時間を待っていることだろう。

 ……どうしよう。ここで大声を出して誰かを呼んで騒ぎになっても、それはそれで『品格』ある行動かと問われれば、それは違うと思う。

 とは言え、ここで彼女たちの中身のない会話に延々付き合っている訳にもいかない。

 ……元はと言えば、あのご令嬢の誘いに乗ってはいけなかったということ?

「……待たせたな。リゼル」

 そこに聞こえた、低い声。私には幼い頃から、とても聞き覚えのある声の主だった。



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