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「……けど、今だからこそ、楽しめるかもしれないよ。リゼル。今では君はもう既に社交デビューも終えて、立派な淑女(レディ)だけど、デビュー前では選べるものが変わる。それに、結婚すれば既婚者らしく装う必要性もある。今で良かったんだよ」

「そうかしら……そうかもしれないわね」

 納得した様子を見て微笑んだエドワードは、これまでに私に無理を言ったことはない。だからこそ、これまで私だって、好き勝手に過ごして訳で……。

 優しすぎる恋人というのは、考え物なのかもしれない。優しくないのも、それはそれで嫌だろうけれど。

「……そういえば、リゼル。少し相談があるんだけど」

 そろそろ移動しようと馬車に戻って来た時に、エドワードは深刻そうに言った。

 ……何かしら。未だかつてないくらいに、真剣な表情だけれど。

「え? ええ。何かしら」

「僕たちは誤解も解けて、そろそろ結婚の準備を……というところだけど、王太子殿下の即位などで色々とあってね。一旦、距離を置きたいんだ」

 エドワードはじっと、私の目を見つめていた。その眼差しは真っ直ぐで、嘘をついているようになんて全く見えない。

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