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04 決意

 かなりの時間をそのまま蹲った体勢のままで居た私は、エドワードはもう行ってしまっただろうと判断して、立ち上がった。

 エドワードは王太子に付いて働く忙しい宰相候補のはずよ。こんな場所に、長時間も居るはずがないわ。

 ほっと息をついた私が身動きした音が、部屋の外にも聞こえたのかもしれない。

「……リゼル?」

 私たちを厚い木で出来た扉を隔てていることによって、くぐもって聞こえるエドワードの低い声。

 エドワード……まさか。まだフォーセット男爵邸に居たんだ。私は両手を口に当てて、驚いていた。

 もうとうの昔に帰ってしまったと思っていたエドワードは、まだ図書室の外に居る。

「エドワード。話すことなんて、何もないと思うけど?」

 私たち二人にはもう、話すことなんてない。私のそれまでの思い込みが覆った決定的な出来事だった。

 それに、エドワードは本来ならば、フォーセット男爵家に居るべき人でもない。

 ……特に未婚の私一人しか、この邸に居ない時には。

「その……どうか、話を聞いてくれ。リゼル」

 必死にも聞こえる声音……あら。いつも余裕ある態度を崩さないエドワードが、こんなにも慌てて居るなんて、すごく珍しいかもしれない。

 幼馴染みの私が彼にこんなにも怒って言葉をまくし立てるなんて、これまでになかったことだから当然のことかもしれないけど。

 けど……別に私だってエドワードの事が好きだったし、出来るだけ優しくしたいと、これまで思っていた。

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