令嬢ランキング、一位になってみせます!

10 第一候補

 キイっと音をさせて開いた扉の向こうには、薬草の匂いがした。雑多に置かれたたくさんの本の中、ゆるく煙る鍋が奥の方に見える。

 ここが、魔法使いが住んでいる……魔法屋。

 ゆっくりと店内に足を踏み入れると、ひんやりした冷たい空気が肌に触れた。

「オズワルド。俺だよ」

 レヴィンが中に向かって親しい様子で声を掛けると、しわがれ声がそれに応えた。

「ああ。いらっしゃい……レヴィンか。そちらの女の子は?」

 私が想像する『魔法使い』という存在、そのままの老齢の魔法使いが、ひょいっと頭を出し高く積み上げられた本の影から現れた。黒くて長いローブを頭から被り、白い髭はとても長い。

 レヴィンが私の後に続き、背後で扉を閉める音がした。

「この子はリゼル。オズワルドに視力を良くして貰いたいそうだ」

 私の代わりにここに来た目的を伝えてくれたレヴィンの言葉に、何度か頷いて肯定した。

「ほう……お嬢さん。この魔法屋の魔法は高価だが、それでも構わないと……?」

「あ。大丈夫っ……です。おいくらですか?」

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