令嬢ランキング、一位になってみせます!
 私はそこでそつなくにっこり微笑むと、シャーリー様は気に入らない表情を見せて、短く挨拶をすると去って行った。

 そそくさと距離を置く彼女の背中の向こうに、エドワードの姿が見えて、私は胸がドキッと高鳴った。

 いつからこちらを見ていたのか、エドワードに気がついた私と視線が合った。

 その時。

 まるで周囲の音が消えてしまったかのような錯覚。黒い髪と瞳と色味を合わせたような漆黒の夜会服。

 ……エドワード。どうして、そんなにも悲しそうなの。

 こちらをじっと見つめて、やがて一歩踏み出しゆっくりと歩き出したエドワードを見て、私はようやく体を動かすことを思い出した。

 そして、逃げ出すように後ろを振り返って、ドレスの裾を掴んで歩き出した。

 ああ……どうしてだろう。確かに好きだったし、結婚すると思っていた幼馴染から、こうして何度も何度も逃げてしまうのは。

 あのアイリーン様から求婚されて断るなんて、あり得ないことだとわかっている。そもそもエドワードは、成人した私には正式に結婚を申し込んでいない。

 これまでの行動こそが彼の気持ちを代弁していると言われても、不思議ではない。

 ……話くらい聞いても良いのかもしれない。もう駄目だとわかっている恋に、決定的な終止符を打つために。

 けれど、ただ怖かった。

 幼い頃から月日が経ち、今ではもう何もかも終わっている恋だとわかりつつも、エドワードから直接決定的な言葉を聞いてしまうのがすごく怖い。

 それを、直視しづらい現実から逃げているだけだと誰かから言われても、確かにその通りだと答えるしか、今は出来ないけれど。



< 92 / 194 >

この作品をシェア

pagetop