妹を監禁するはずの悪役から、なぜか溺愛執着されています
あ、え、ちょっ……。
思考停止している私にエディアルドは隠すこともなく、微笑んだ。
「リゼットも早く着替えなよ。風邪をひくと悪い」
布で髪をガシガシと雑に拭く行動は、男らしいとさえ思ってしまう。
「濡れたドレスって脱ぎにくい」
エディアルドは私がいるのに動じることなく、ドレスを脱ぎにかかる。
「あ、それともリゼット、脱がすの手伝って欲しいとか?」
ニコッと笑うエディアルドに顔を真っ赤にして、勢いよく扉を閉めた。
「結構よ!!」
扉の奥からは笑い声が響く。
信じられない――。やっぱり男だった。もしかしたら女性なんじゃないかと、男性設定は小説の中だけかと思ったが、違ったようだ。
扉の前でしばし呆然と立ち尽くす。
でも、これって、知ってはいけない秘密なんじゃない? カーライル公爵が最優先で隠していたことじゃないのー―。
「見ましたね」
背後からヌッと顔が出てきたと思ったら、ジェラールの端正な顔が間近にあった。ひっ、と声を出したら、口を片手で塞がれ、大人しくするようにジェスチャーで伝えられた。
「大事な話があるので着替えたら、私の部屋に来てください」
有無も言わさぬ雰囲気に、ただコクコクとうなずいた。
もう双子コーデどころじゃない、私は急いで着替えると、ジェラールに指示された部屋に入る。ソファに座るように言われ、従った。
「どこから話すべきか――」
「待ってください! 私が聞いてもいいものですか?」
親族問題を聞き、巻き込まれたくない、切実に。私のことをそっとしておいて欲しいから。
ここでちょっとエディアルドと仲良く遊んで帰り、情をかう。友人ともなれば、簡単に手を出さないだろうと、なんともみみっちい考えかもしれないが、私は必死だった。だからこそ、全力で遊んだのだ。
「ここまで知ってしまったのなら、下手に隠すより、巻き込んでしまったほうがいい」
ジェラールは足を組み、ゆっくりと息を吐き出した。
ちょっと、なに、自分は覚悟を決めたぜ、キリッ、って顔を見せるけどねぇ、こっちは全然そんな覚悟なんて、ないんだってば!
「エディアは――」
ちょっ、待って!
だが私の心の叫びもむなしく、独白を始めた。
「君も見た通り、男性だ。今は性別を偽っている。それはカーライル公爵の願いだ」
そこからジェラールは、話続けた。聞いてもいないのに――。
「エディアルドは偉大なる王の隠し子だ」
うん、それな、知ってる。
世間的には死産ということなっていた。
また、エディアルドの母は産後の経過が悪く、半年後に命を落とした。
残されたエディアルドは権力争いに巻き込まれるのを避けるべく、女児として育てられた。
男性なら今よりもっと命の危機が上がるだろう。
そして五大属性の精霊の加護を身に秘めているから、これが世間にばれたら注目を浴びる。常に命の危険が伴う王座争奪戦に巻き込まれることになる。隠し子だが第三王子の身分となるのだから。
それに、エディアルドの持つ加護の力は簡単に扱いきれるものではない。暴走を防ぐためにも、普段は薬で抑えている、との話だった。
でもそれってエディアルドにとって、本当に幸せなのかな。
偽りの性別で屋敷に閉じ込め、精霊の加護を封じて。今は本当の姿じゃないってことじゃない。
今はまだ、小説のような残酷さは見えないけど、徐々に変わってしまうのかな。だとしたら悲しいことだ。
「それはいつまでですか?」
「エディア本人が本来の姿で生きたいと望み、精霊の加護を上手く使いこなせるようになったら」
もしかすると一生、守られて過ごすのかもしれない。この広大な屋敷で――。
「だが……」
ジェラールは言いよどむ。
「君と出会ってからエディアの中で変化があったようで、魔法の効果が薄れてきている」
「えっ……」
「言葉遣いと、態度が男らしくなっている。無意識なのだろうか」
エディアルドに魔法をかけたのは国内一番の魔法師だったとジェラールは言った。エディアルドの精霊の加護の力が、その魔法師よりも上回ってきたのだろうか。
思考停止している私にエディアルドは隠すこともなく、微笑んだ。
「リゼットも早く着替えなよ。風邪をひくと悪い」
布で髪をガシガシと雑に拭く行動は、男らしいとさえ思ってしまう。
「濡れたドレスって脱ぎにくい」
エディアルドは私がいるのに動じることなく、ドレスを脱ぎにかかる。
「あ、それともリゼット、脱がすの手伝って欲しいとか?」
ニコッと笑うエディアルドに顔を真っ赤にして、勢いよく扉を閉めた。
「結構よ!!」
扉の奥からは笑い声が響く。
信じられない――。やっぱり男だった。もしかしたら女性なんじゃないかと、男性設定は小説の中だけかと思ったが、違ったようだ。
扉の前でしばし呆然と立ち尽くす。
でも、これって、知ってはいけない秘密なんじゃない? カーライル公爵が最優先で隠していたことじゃないのー―。
「見ましたね」
背後からヌッと顔が出てきたと思ったら、ジェラールの端正な顔が間近にあった。ひっ、と声を出したら、口を片手で塞がれ、大人しくするようにジェスチャーで伝えられた。
「大事な話があるので着替えたら、私の部屋に来てください」
有無も言わさぬ雰囲気に、ただコクコクとうなずいた。
もう双子コーデどころじゃない、私は急いで着替えると、ジェラールに指示された部屋に入る。ソファに座るように言われ、従った。
「どこから話すべきか――」
「待ってください! 私が聞いてもいいものですか?」
親族問題を聞き、巻き込まれたくない、切実に。私のことをそっとしておいて欲しいから。
ここでちょっとエディアルドと仲良く遊んで帰り、情をかう。友人ともなれば、簡単に手を出さないだろうと、なんともみみっちい考えかもしれないが、私は必死だった。だからこそ、全力で遊んだのだ。
「ここまで知ってしまったのなら、下手に隠すより、巻き込んでしまったほうがいい」
ジェラールは足を組み、ゆっくりと息を吐き出した。
ちょっと、なに、自分は覚悟を決めたぜ、キリッ、って顔を見せるけどねぇ、こっちは全然そんな覚悟なんて、ないんだってば!
「エディアは――」
ちょっ、待って!
だが私の心の叫びもむなしく、独白を始めた。
「君も見た通り、男性だ。今は性別を偽っている。それはカーライル公爵の願いだ」
そこからジェラールは、話続けた。聞いてもいないのに――。
「エディアルドは偉大なる王の隠し子だ」
うん、それな、知ってる。
世間的には死産ということなっていた。
また、エディアルドの母は産後の経過が悪く、半年後に命を落とした。
残されたエディアルドは権力争いに巻き込まれるのを避けるべく、女児として育てられた。
男性なら今よりもっと命の危機が上がるだろう。
そして五大属性の精霊の加護を身に秘めているから、これが世間にばれたら注目を浴びる。常に命の危険が伴う王座争奪戦に巻き込まれることになる。隠し子だが第三王子の身分となるのだから。
それに、エディアルドの持つ加護の力は簡単に扱いきれるものではない。暴走を防ぐためにも、普段は薬で抑えている、との話だった。
でもそれってエディアルドにとって、本当に幸せなのかな。
偽りの性別で屋敷に閉じ込め、精霊の加護を封じて。今は本当の姿じゃないってことじゃない。
今はまだ、小説のような残酷さは見えないけど、徐々に変わってしまうのかな。だとしたら悲しいことだ。
「それはいつまでですか?」
「エディア本人が本来の姿で生きたいと望み、精霊の加護を上手く使いこなせるようになったら」
もしかすると一生、守られて過ごすのかもしれない。この広大な屋敷で――。
「だが……」
ジェラールは言いよどむ。
「君と出会ってからエディアの中で変化があったようで、魔法の効果が薄れてきている」
「えっ……」
「言葉遣いと、態度が男らしくなっている。無意識なのだろうか」
エディアルドに魔法をかけたのは国内一番の魔法師だったとジェラールは言った。エディアルドの精霊の加護の力が、その魔法師よりも上回ってきたのだろうか。