妹を監禁するはずの悪役から、なぜか溺愛執着されています
それに両親も私が第三王子から封書を受け取ったと知り、気もそぞろだ。いつの間にか母まで部屋に入ってきて、私の顔色をうかがっている。
「お付きの人と来て欲しいってことだから、今から行ってくるわ」
私の返答を聞き、両親は手を合わせてはしゃいだ声を出す。
「さっそく、着替えなくちゃ! ドレスは? ああ、どうして新調しておかなかったのかしら」
「リゼット、お付きの方にはもう少し待っていただくから、お前は早く準備をしなさい。綺麗にな!」
私から見たら、両親の方が有頂天になり、焦っている。
娘の気乗りしない顔にも気づかないほど、浮かれている。
「いえ、このままでいいです」
そう言ったが、両親に無理やり着替えさせられ、化粧を塗りたくられた。
私がエディアルドから招待を受けたと知った両親の喜びようったら、なかった。
ご機嫌な二人に見送られお付きの人と、エディアルドのもとへ向かう。
実のところ、エディアルドとの関係は両親には知られたくなかった。絶対面倒なことになると思っていたが、その通りになった。馬車に揺られながら、深くため息をついた。
「リゼット様、到着いたしました」
声をかけられ、意識を呼び覚ます。どうやら私はうたた寝してしまったようだ。
馬車を降りると広大な敷地にそびえたつ、公爵家が視界に入る。
ここはカーライル公爵家、どこか懐かしい気持ちになる。
「こちらへどうぞ」
庭園一面に咲き誇る薔薇の香りが、鼻につく。視界いっぱいに埋め尽くす薔薇が咲き誇っている。
「リゼット」
ふと名前を呼ばれ、振り向いた。
ふわりと微笑むその人は、庭園の一角から姿を現す。
「もしかしたら、今日会えるかと思って、馬車が戻ってくるのを待っていた」
まさか、ずっと庭園にいたの? 馬車の姿が見えるまで? 私が一緒じゃなかったら、どうしたのだろう。
「今日がダメでも、何度も誘うつもりだった。それこそ、何度でも」
エディアルドは手にした一輪の薔薇の花を、そっと私の髪に差した。
「紅茶の準備がしてあるから、行こう」
エディアルドは私の手をつかむと、颯爽と歩き出した。
ふと懐かしくなり、心臓がドキリと音を出す。だけど、あの時と違う手の大きさに私は戸惑う。
温かく、私をすっぽりと包み込む大きさ。舞踏会の時に思ったけど、やはり男の人の手だと感じた。
「座ってリゼット。君の好きなものばかり用意した」
椅子を引き、私に座るように勧めたエディアルドは、みずからティーポットを手にしている。紅茶を淹れると、私の前に座った。
「ありがとう」
エディアルドは頬杖をつき、私を見つめている。まるで、あの時の再現ではないかと思うほど。ただ、妖精のような美しさだったエディアルドはいなくなり、今は端正な顔立ちの男性が座っている。
にこにこと嬉しそうな微笑みを向けているので、正直言って食べにくい。
「魔法治療師の件ですが、ありがとうございました」
私はまず、ここに来た一番の理由、シアナの件についてお礼を言う。
「いつかは診察してもらいたいと思っていたから、エディアルド様のご厚意に感謝いたします」
だが、相手は表情が曇り、険しい目つきだ。
「――エディアルド」
「えっ?」
眉をしかめた彼は椅子に深く腰掛け、不満げな声を出す。
「前に言ったはずだ。エディアルドと呼んで欲しいと。それに、そんな言葉使いも気に入らない」
テーブルの上からエディアルドが手を伸ばし、そっとつかまれた。その手の温かさに張っていた気が、少しだけ緩んだ。
「わ、わかったから、手を離して」
ジッと見つめ続けられているのが気恥ずかしくなり、そっと視線を逸らす。
「と、とにかく、魔法治療師の件は助かったわ。本当にありがとう」
再度お礼を口にするとエディアルドは片眉を上げた。
「リゼットは妹のことばかり心配していたから。妹が元気だとわかれば、もう大丈夫だろう」
私が一番心配していたことを、気にかけてくれていたからこそ、魔法治療師を派遣してくれたのだろうか。
ホッとしてカップを口に持っていく。
「妹が心配ないとわかれば、またずっと俺と一緒にいられるだろう?」
頬杖をつき、微笑むエディアルドの発言に紅茶を噴きそうになった。
もしやそれが目的? また私を監禁するつもりなの?
頬が引きつる私にエディアルドは続けた。
「リゼットの傷は……? 魔法治療師から問題ないと返事をもらったが」
ごくりと喉を鳴らすエディアルドは質問することに、勇気を出してるように見えた。
「ええ、大丈夫よ。当時の治療が良かったおかげで、傷跡も残っていないわ」
エディアルドはスッと席を立つと、私の隣に立つ。
「見せて」
「はい?」
「自分の目で見なければ、安心できない」
真剣な眼差しを向ける彼は私の腕をつかむと、強引に立たせた。
「お付きの人と来て欲しいってことだから、今から行ってくるわ」
私の返答を聞き、両親は手を合わせてはしゃいだ声を出す。
「さっそく、着替えなくちゃ! ドレスは? ああ、どうして新調しておかなかったのかしら」
「リゼット、お付きの方にはもう少し待っていただくから、お前は早く準備をしなさい。綺麗にな!」
私から見たら、両親の方が有頂天になり、焦っている。
娘の気乗りしない顔にも気づかないほど、浮かれている。
「いえ、このままでいいです」
そう言ったが、両親に無理やり着替えさせられ、化粧を塗りたくられた。
私がエディアルドから招待を受けたと知った両親の喜びようったら、なかった。
ご機嫌な二人に見送られお付きの人と、エディアルドのもとへ向かう。
実のところ、エディアルドとの関係は両親には知られたくなかった。絶対面倒なことになると思っていたが、その通りになった。馬車に揺られながら、深くため息をついた。
「リゼット様、到着いたしました」
声をかけられ、意識を呼び覚ます。どうやら私はうたた寝してしまったようだ。
馬車を降りると広大な敷地にそびえたつ、公爵家が視界に入る。
ここはカーライル公爵家、どこか懐かしい気持ちになる。
「こちらへどうぞ」
庭園一面に咲き誇る薔薇の香りが、鼻につく。視界いっぱいに埋め尽くす薔薇が咲き誇っている。
「リゼット」
ふと名前を呼ばれ、振り向いた。
ふわりと微笑むその人は、庭園の一角から姿を現す。
「もしかしたら、今日会えるかと思って、馬車が戻ってくるのを待っていた」
まさか、ずっと庭園にいたの? 馬車の姿が見えるまで? 私が一緒じゃなかったら、どうしたのだろう。
「今日がダメでも、何度も誘うつもりだった。それこそ、何度でも」
エディアルドは手にした一輪の薔薇の花を、そっと私の髪に差した。
「紅茶の準備がしてあるから、行こう」
エディアルドは私の手をつかむと、颯爽と歩き出した。
ふと懐かしくなり、心臓がドキリと音を出す。だけど、あの時と違う手の大きさに私は戸惑う。
温かく、私をすっぽりと包み込む大きさ。舞踏会の時に思ったけど、やはり男の人の手だと感じた。
「座ってリゼット。君の好きなものばかり用意した」
椅子を引き、私に座るように勧めたエディアルドは、みずからティーポットを手にしている。紅茶を淹れると、私の前に座った。
「ありがとう」
エディアルドは頬杖をつき、私を見つめている。まるで、あの時の再現ではないかと思うほど。ただ、妖精のような美しさだったエディアルドはいなくなり、今は端正な顔立ちの男性が座っている。
にこにこと嬉しそうな微笑みを向けているので、正直言って食べにくい。
「魔法治療師の件ですが、ありがとうございました」
私はまず、ここに来た一番の理由、シアナの件についてお礼を言う。
「いつかは診察してもらいたいと思っていたから、エディアルド様のご厚意に感謝いたします」
だが、相手は表情が曇り、険しい目つきだ。
「――エディアルド」
「えっ?」
眉をしかめた彼は椅子に深く腰掛け、不満げな声を出す。
「前に言ったはずだ。エディアルドと呼んで欲しいと。それに、そんな言葉使いも気に入らない」
テーブルの上からエディアルドが手を伸ばし、そっとつかまれた。その手の温かさに張っていた気が、少しだけ緩んだ。
「わ、わかったから、手を離して」
ジッと見つめ続けられているのが気恥ずかしくなり、そっと視線を逸らす。
「と、とにかく、魔法治療師の件は助かったわ。本当にありがとう」
再度お礼を口にするとエディアルドは片眉を上げた。
「リゼットは妹のことばかり心配していたから。妹が元気だとわかれば、もう大丈夫だろう」
私が一番心配していたことを、気にかけてくれていたからこそ、魔法治療師を派遣してくれたのだろうか。
ホッとしてカップを口に持っていく。
「妹が心配ないとわかれば、またずっと俺と一緒にいられるだろう?」
頬杖をつき、微笑むエディアルドの発言に紅茶を噴きそうになった。
もしやそれが目的? また私を監禁するつもりなの?
頬が引きつる私にエディアルドは続けた。
「リゼットの傷は……? 魔法治療師から問題ないと返事をもらったが」
ごくりと喉を鳴らすエディアルドは質問することに、勇気を出してるように見えた。
「ええ、大丈夫よ。当時の治療が良かったおかげで、傷跡も残っていないわ」
エディアルドはスッと席を立つと、私の隣に立つ。
「見せて」
「はい?」
「自分の目で見なければ、安心できない」
真剣な眼差しを向ける彼は私の腕をつかむと、強引に立たせた。