妹を監禁するはずの悪役から、なぜか溺愛執着されています
王妃も肌で感じたのだろう、ひるんで一歩後退する。
「俺の結界を張った。これでもうあんたは逃げられない。外からの助けも来ない」
目を細め王妃と対峙するエディアルドは、なにが面白いのか笑い出した。
「俺は王位になんて、まったく興味がない」
エディアルドの言葉に王妃の目が一瞬、大きく見開かれた。
「だがな、今回のことで実感した。それでリゼットを守れるのなら、王位を奪ってやると」
ゾッとするほどの眼差しを王妃に向ける。
「だ、黙りなさい、無礼な! 貴様のような下賤な私生児に、王位が相応しいと思っているのか」
王妃は手の平に真っ黒な物体を作り上げた。だが、それは瞬時に消え去った。
焦って手のひらを二度見している王妃にエディアルドは肩を揺らして笑う。
「ああ、あんたの闇の精霊が怖気づいているのが見える。俺の闇の精霊に脅えている」
瞬間、エディアルドからブワッと黒い影が飛び出し、王妃に絡まる。
「わ、私を誰だと――」
なおも口を閉じない王妃に、エディアルドは小さくため息をつく。
「俺の母親を殺したのは、あんただろう」
もしかして知っていたの……?
「精霊たちが教えてくれた。母親の仇の存在を」
影に捉えられている王妃に近づくと、エディアルドは指をパチンと鳴らす。
そこに登場したのは、ゆらゆらと蠢く黒い影。あれは――。
とてつもなく禍々しい気を放つ影は、恐ろしいほどに強いだろうと、察した。
エディアルドは王妃の額に指をあてる。
「そんなに精霊の加護の力を欲するのなら、俺と契約を結んだ闇の眷属をお前につけてやる」
「や、やめ……」
額にグッと力を込めるエディアルドに、王妃は逃げようともがく。
「逃がすわけがないだろう。思い知らせてやる。今後、あんたが俺たちに害をなしたら、闇の眷属がその魂を食い散らかすだろう。闇の眷属は罪人や汚れた魂が大好物だ。あんたが堕ちるよう、手招きして深淵の闇で待っている」
「な、なにをするつもり!!」
エディアルドが指を離すと、王妃の額には黒い刻印が入っていた。
「はは、それは精霊の間では罪人だという証の刻印。あんたは一生消えない罪を背負った」
高笑いするエディアルドは嬉々として見えた。
「だが俺は優しいから……」
そこでなぜか私に視線をチラチラと送ってくるエディアルド。
「あんたが大人しく生きていくなら、見逃してやろう。身の丈に合わない生活を望み、リゼットを危険な目に合わせたら――。一族、皆殺しだ。その時は覚悟しているといい」
エディアルドの言葉は、決して嘘でも冗談でもないと知り、血の気が引く。王妃もそれを察しているだろう、私以上に青白い顔をしている。
「復讐はなにも生まないと、教えてくれたリゼットに感謝するんだな」
エディアルドの台詞にハッとする。確かにそんなことを言った気がする。エディアルドの記憶の良さに脱帽するとともに、うかつに変なことは口に出来ないと実感した。
「リゼットから言われてなければ、とっくに八つ裂きにしていた。地獄の業火で焼き、欠片も残すことはなかった」
あ、悪魔。いや、悪魔を通り越して魔王……魔王がいるよ、ここに……。
味方なのだが、恐ろしくて白眼むきそう。
「俺はいつでもあんたと、あんたの大事な息子たちの命を、どうとでもできるということを忘れるな」
魔王はたっぷりの脅し文句を吐き出した。
「どうした、リゼット。大丈夫か」
エディアルドが私の異変に気付き、顔をのぞき込む。
「やはり、今この場で始末し――」
エディアルドは指を伸ばすと王妃の首をつかんだ。
「や、やめて!!」
グェッと声を出し、恐怖のあまり王妃は意識を失った。
血を望んでいるわけじゃない。それに王妃をエディアルドが処刑したならば、大混乱が起きる。
「そうか。大丈夫なんだがな。土の精霊に頼み、地下深くまで埋めてもいいし、水の精霊の力で川底に一生沈めることもできる。リゼットが心配するような混乱は起きないさ」
おいおいおい。私の考えを見透かしたようにサラッと言うけど、止めてくれ。
確かに王妃にはひどいことをされたし、エディアルドが来てくれなかったら今頃どうなっていたか、わからない。
でもエディアルドの手を、血で汚したくない。悪役だったのもあり、残虐で執拗な一面もあると思っているが、その部分はあまり表に出して欲しくない。
「――いいの。命だけは奪わないで」
エディアルドは床に膝をつくと、私の左手を取る。
「リゼットが望むなら」
そのままチュッと口づけするが、本当、私の言うことだけはよく聞くんだよなぁ。私のだけ!
「俺の結界を張った。これでもうあんたは逃げられない。外からの助けも来ない」
目を細め王妃と対峙するエディアルドは、なにが面白いのか笑い出した。
「俺は王位になんて、まったく興味がない」
エディアルドの言葉に王妃の目が一瞬、大きく見開かれた。
「だがな、今回のことで実感した。それでリゼットを守れるのなら、王位を奪ってやると」
ゾッとするほどの眼差しを王妃に向ける。
「だ、黙りなさい、無礼な! 貴様のような下賤な私生児に、王位が相応しいと思っているのか」
王妃は手の平に真っ黒な物体を作り上げた。だが、それは瞬時に消え去った。
焦って手のひらを二度見している王妃にエディアルドは肩を揺らして笑う。
「ああ、あんたの闇の精霊が怖気づいているのが見える。俺の闇の精霊に脅えている」
瞬間、エディアルドからブワッと黒い影が飛び出し、王妃に絡まる。
「わ、私を誰だと――」
なおも口を閉じない王妃に、エディアルドは小さくため息をつく。
「俺の母親を殺したのは、あんただろう」
もしかして知っていたの……?
「精霊たちが教えてくれた。母親の仇の存在を」
影に捉えられている王妃に近づくと、エディアルドは指をパチンと鳴らす。
そこに登場したのは、ゆらゆらと蠢く黒い影。あれは――。
とてつもなく禍々しい気を放つ影は、恐ろしいほどに強いだろうと、察した。
エディアルドは王妃の額に指をあてる。
「そんなに精霊の加護の力を欲するのなら、俺と契約を結んだ闇の眷属をお前につけてやる」
「や、やめ……」
額にグッと力を込めるエディアルドに、王妃は逃げようともがく。
「逃がすわけがないだろう。思い知らせてやる。今後、あんたが俺たちに害をなしたら、闇の眷属がその魂を食い散らかすだろう。闇の眷属は罪人や汚れた魂が大好物だ。あんたが堕ちるよう、手招きして深淵の闇で待っている」
「な、なにをするつもり!!」
エディアルドが指を離すと、王妃の額には黒い刻印が入っていた。
「はは、それは精霊の間では罪人だという証の刻印。あんたは一生消えない罪を背負った」
高笑いするエディアルドは嬉々として見えた。
「だが俺は優しいから……」
そこでなぜか私に視線をチラチラと送ってくるエディアルド。
「あんたが大人しく生きていくなら、見逃してやろう。身の丈に合わない生活を望み、リゼットを危険な目に合わせたら――。一族、皆殺しだ。その時は覚悟しているといい」
エディアルドの言葉は、決して嘘でも冗談でもないと知り、血の気が引く。王妃もそれを察しているだろう、私以上に青白い顔をしている。
「復讐はなにも生まないと、教えてくれたリゼットに感謝するんだな」
エディアルドの台詞にハッとする。確かにそんなことを言った気がする。エディアルドの記憶の良さに脱帽するとともに、うかつに変なことは口に出来ないと実感した。
「リゼットから言われてなければ、とっくに八つ裂きにしていた。地獄の業火で焼き、欠片も残すことはなかった」
あ、悪魔。いや、悪魔を通り越して魔王……魔王がいるよ、ここに……。
味方なのだが、恐ろしくて白眼むきそう。
「俺はいつでもあんたと、あんたの大事な息子たちの命を、どうとでもできるということを忘れるな」
魔王はたっぷりの脅し文句を吐き出した。
「どうした、リゼット。大丈夫か」
エディアルドが私の異変に気付き、顔をのぞき込む。
「やはり、今この場で始末し――」
エディアルドは指を伸ばすと王妃の首をつかんだ。
「や、やめて!!」
グェッと声を出し、恐怖のあまり王妃は意識を失った。
血を望んでいるわけじゃない。それに王妃をエディアルドが処刑したならば、大混乱が起きる。
「そうか。大丈夫なんだがな。土の精霊に頼み、地下深くまで埋めてもいいし、水の精霊の力で川底に一生沈めることもできる。リゼットが心配するような混乱は起きないさ」
おいおいおい。私の考えを見透かしたようにサラッと言うけど、止めてくれ。
確かに王妃にはひどいことをされたし、エディアルドが来てくれなかったら今頃どうなっていたか、わからない。
でもエディアルドの手を、血で汚したくない。悪役だったのもあり、残虐で執拗な一面もあると思っているが、その部分はあまり表に出して欲しくない。
「――いいの。命だけは奪わないで」
エディアルドは床に膝をつくと、私の左手を取る。
「リゼットが望むなら」
そのままチュッと口づけするが、本当、私の言うことだけはよく聞くんだよなぁ。私のだけ!