初恋は身近なところに 〜モテ男子の一途な溺愛〜
無事に集まりが終わり、水谷くんと2人で教室に戻る。
「なんか大変そうだったね」
「そうですね……」
1回目の会議から、情報量が多くてびっくりだ。
「でも俺らなら大丈夫だよ」
励ましてくれる水谷くんに「はい!」と返事をする。
集まりの時も、水谷くんは積極的に意見を言っていて、みんな尊敬の眼差しを向けていた。
私は相変わらずみんなから怖がられていたみたいで少し悲しかったけど、文化祭実行委員としてしっかり頑張らなきゃ……!
「そういえばさ」
教室に入ってすぐ、水谷くんが口を開いた。
6時を過ぎた教室には誰もいなく、オレンジ色の光が入り込んでいる。
「音乃さん、敬語じゃなくていいよ?俺らタメだし」
「えっ……」
驚いて声が漏れてしまった。
もちろん同い年だけど、水谷くんみたいな人気者にタメ口なんて使っていいのかなっ……?
そもそも友達なんていなかったから、タメ口なんて言う選択肢が浮かばなかった。
「嫌だ?」
不安そうに尋ねられ、首を横に振る。
「嫌なわけじゃないです……ないよ……!ありがとう、水谷くん」
嬉しいっ……!
いつか友達とタメ口で話し合う関係に憧れていたから、実現したことに喜びが溢れてしまう。
私が男の子と話せる日が来るなんて……。
水谷くんは優しいなぁ……。
思わず笑顔を浮かべると、水谷くんは目を見開いた。
「どうしたの……?」
「いや……音乃さんが笑ってるとこ、初めて見たから……」
確かに、中学に入って初めて笑ったかもしれない。
ずっと怖がられてきたし、私に話しかけてくれる人なんていなかったから。
水谷くんの耳が赤い気がするのは気のせいかな……?
「――俺さ、音乃さんと話してみたかったんだ」
私と……?
そんなことを言われたのは初めてで、思わず目を見開いた。
「怖がってる奴もいたけど、俺は見た目だけで決めつけるのは違うと思ってて……」
そんなふうに思ってくれていたんだ……。
優しいことを言ってくれる水谷くんに思わず泣きそうになってしまった。
「それに……」
少し照れたように私の瞳を見つめる水谷くん。
「俺はその髪色、綺麗だと思うよ」
――っ……。
水谷くんの言葉に、顔が赤くなるのが分かった。
いつも怖がられていたこの容姿を、褒めてくれる人なんていなかった。
存在を認められたみたいで、凄く嬉しかった。
「ありがとうっ……!嬉しい……!」
もう一度笑顔を向けると、水谷くんの顔が真っ赤になるのが分かった。
「っ……!」
「……?」
どうかしたのかな……?風邪とか……?
首を傾げると水谷くんはハッと我に返った。
「ごめん、ちょっと遅くなっちゃったね、家まで送るよ」
「えっ……でも、いいの……?」
「もちろん、俺がそうしたいだけだし」
さらっとかっこいいセリフを言う水谷くんに、さすがだなぁ……と思ってしまった。
今日初めてちゃんと話したけど、想像よりもずっと優しくて、こんな私でも打ち解けることが出来た。