チーターとガレット
2
一週間の仕事をこなし、日曜日の昼時に〈トレトゥール〉を訪れると、店の前に真新しい置き看板が出ていた。『総菜タルト・ガレットあります』と書かれている。〈イガラシ〉の前で足を止めれば、目に入る場所だった。
「看板、できたんだ」
天気もいいしメニューも一緒に出しておけばいいのに。そう思いながらドアを引くと、緩やかなボサノバが聞こえてきた。
「いらっしゃいませ、あっ」
キッチンから声を上げた彼が、二度目の来店を喜んでくれているのが表情から見て取れて、笑顔を返す。
今日は三十代半ばくらいの女性客が一人いて、本を読みながらコーヒーを飲んでいる。こういった隠れ家のような店は、初めに入るときは緊張するが、一度来てしまえばもう落ち着ける場所になってしまう。これから少しずつ、ファンが増えていきそうでほっとした。自分だけがこの店を好きなだけでは、店を支えることはできないのだ。
テーブル席に着くと、お冷と一緒にメニューが出てきた。
「あ、メニューがもう変わってる」
千枝は思わず声を上げていた。
先週気に入った〈マッシュルームとパルミジャーノチーズのタルト〉も、今度こそ食べてみようと思っていた〈海老と帆立のシーフードクレープ~わさびソース~〉もない。代わりに新しいタルトとクレープが書かれている。
「あれ、同じ方が良かったですか」
千枝の声に落胆を感じ取ったのか、彼は申し訳なさそうに眉尻を下げる。
一週間の仕事をこなし、日曜日の昼時に〈トレトゥール〉を訪れると、店の前に真新しい置き看板が出ていた。『総菜タルト・ガレットあります』と書かれている。〈イガラシ〉の前で足を止めれば、目に入る場所だった。
「看板、できたんだ」
天気もいいしメニューも一緒に出しておけばいいのに。そう思いながらドアを引くと、緩やかなボサノバが聞こえてきた。
「いらっしゃいませ、あっ」
キッチンから声を上げた彼が、二度目の来店を喜んでくれているのが表情から見て取れて、笑顔を返す。
今日は三十代半ばくらいの女性客が一人いて、本を読みながらコーヒーを飲んでいる。こういった隠れ家のような店は、初めに入るときは緊張するが、一度来てしまえばもう落ち着ける場所になってしまう。これから少しずつ、ファンが増えていきそうでほっとした。自分だけがこの店を好きなだけでは、店を支えることはできないのだ。
テーブル席に着くと、お冷と一緒にメニューが出てきた。
「あ、メニューがもう変わってる」
千枝は思わず声を上げていた。
先週気に入った〈マッシュルームとパルミジャーノチーズのタルト〉も、今度こそ食べてみようと思っていた〈海老と帆立のシーフードクレープ~わさびソース~〉もない。代わりに新しいタルトとクレープが書かれている。
「あれ、同じ方が良かったですか」
千枝の声に落胆を感じ取ったのか、彼は申し訳なさそうに眉尻を下げる。