チーターとガレット
「次は日曜日か」
他にも何か仕事をしているのだろうか。最近はこういった、少ない営業日の店も多い。いつでも行ける店は後回しで、その日にしか行けない店を優先する。タイミングが合わない人も出てくるが、ファンが付く店になりやすい。
「今日のきのこのタルト、もう一回食べたいな。でも今度はガレットも食べてみたい」
日曜、月曜と両方行けばそれも可能かもしれない。今日が月曜日だから、早くてもあと五日は我慢だ。
遠くにビルの灯りが見え始める。自宅の最寄り駅、美鳥が丘中央駅の高層マンション群だ。いつの間にかもう、自宅も近くなってきている。
「そういえば、仕事のこと完全に頭から抜けていたかも」
家で食事をしていると、ついスマホでメールチェックをしたり、プレゼンテーションの資料に目を通したりと、唯一の息抜きまで仕事に浸食されてしまい、食事を楽しむなんていうことも忘れてしまう。
今日だってコンビニに寄っていたら、作業のようにパンに齧りつき、翌朝には何を食べたのかなんてことも、忘れてしまっていただろう。家に帰っても、リラックスとは程遠い暮らしなのだ。
「メール、明日にしよう」
千枝は両腕を伸ばして、深呼吸した。店主の男性のやわらかな笑みを思い出すと、自然と口元に笑みが浮かんでいた。疲れるばかりの毎日に、思いがけない楽しみができてしまった。


