隣の席の悪魔【旧版】


帰り道。

いつもの別れ道。

止まる。

でも。

今日は、
何も言えない。

その時。

空くんがぽつり。

「……星野」

「なに」

空くんが、
小さく息を吐く。

そして。

「もし離れても、
走れよ」

え。

私は瞬きをする。

空くんは前を向いたまま。

「お前、
体力すぐ落ちるから」

……なにそれ。

いつも通りみたいな言い方。

なのに。

なんでこんな苦しいんだろ。

私は笑おうとした。

でも。

ちょっと失敗した。

「……空くんも」

「ん」

「ちゃんと走ってよね」

沈黙。

風。

夕焼け。

そして。

空くんが小さく笑った。

「……気が向いたら」

あ。

またそれ。

私は俯いたまま、
小さく笑う。

でも。

胸の奥は。

ずっと痛かった。
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