隣の席の悪魔【旧版】
◇
放課後。
夕方。
オレンジ色の空。
私たちは、
いつもみたいに走っていた。
でも。
今日は。
会話が少ない。
風の音。
足音。
沈黙。
その全部が、
なんか苦しかった。
走り終わる。
息を整える。
私は空を見上げた。
夏の空。
綺麗。
その時。
空くんが、
ぽつり。
「……高校決まった」
え。
私はすぐに振り向く。
「ほんと!?
どこ!?」
空くんは少しだけ黙る。
そして。
視線を逸らしたまま言った。
「……県外」
一瞬。
意味が分からなかった。
「え?」
「寮あるとこ」
心臓。
どくん。
「……遠いの?」
自分でもびっくりするくらい、
小さい声。
空くんは少しだけ頷いた。
「まぁ」
風。
静か。
セミの声だけが遠い。
「そっか……」
私は笑おうとした。
「空くんっぽいね」
でも。
うまく笑えない。
声。
変じゃなかったかな。
分からない。
空くんは何も言わない。
ただ。
少しだけ。
苦しそうな顔してた。
その時。
やっと気づく。
――あ。
これ。
本当に離れるんだ。
高校。
県外。
寮。
放課後。
ランニング。
帰り道。
来年の春。
ここに、空くんはいない。
「……星野」
低い声。
振り向く。
空くんは、
少しだけ困った顔。
でも。
私はそれ以上見れなかった。
目の前が滲み始めたことに
気づいたから。
私は慌てて前を見る。
「そっか!
すごいじゃん、空くん」
声。
少し震えた。
その時。
空くんが、
少しだけ目を伏せる。
そのあと。
「……お前、
分かりやすすぎ」
……笑われたのかと思った。
でも。
違った。
空くんの声は、
いつもより少し、
掠れていた。
放課後。
夕方。
オレンジ色の空。
私たちは、
いつもみたいに走っていた。
でも。
今日は。
会話が少ない。
風の音。
足音。
沈黙。
その全部が、
なんか苦しかった。
走り終わる。
息を整える。
私は空を見上げた。
夏の空。
綺麗。
その時。
空くんが、
ぽつり。
「……高校決まった」
え。
私はすぐに振り向く。
「ほんと!?
どこ!?」
空くんは少しだけ黙る。
そして。
視線を逸らしたまま言った。
「……県外」
一瞬。
意味が分からなかった。
「え?」
「寮あるとこ」
心臓。
どくん。
「……遠いの?」
自分でもびっくりするくらい、
小さい声。
空くんは少しだけ頷いた。
「まぁ」
風。
静か。
セミの声だけが遠い。
「そっか……」
私は笑おうとした。
「空くんっぽいね」
でも。
うまく笑えない。
声。
変じゃなかったかな。
分からない。
空くんは何も言わない。
ただ。
少しだけ。
苦しそうな顔してた。
その時。
やっと気づく。
――あ。
これ。
本当に離れるんだ。
高校。
県外。
寮。
放課後。
ランニング。
帰り道。
来年の春。
ここに、空くんはいない。
「……星野」
低い声。
振り向く。
空くんは、
少しだけ困った顔。
でも。
私はそれ以上見れなかった。
目の前が滲み始めたことに
気づいたから。
私は慌てて前を見る。
「そっか!
すごいじゃん、空くん」
声。
少し震えた。
その時。
空くんが、
少しだけ目を伏せる。
そのあと。
「……お前、
分かりやすすぎ」
……笑われたのかと思った。
でも。
違った。
空くんの声は、
いつもより少し、
掠れていた。